★ステンドグラス作りを楽しむ10箇条
「1回で何か楽しいことを!」と、考える方には、ステンドグラスは
ちょっと向かないかも知れません。
ステンドグラスを制作する楽しさは、たった1回の体験時間では
あまりにも不十分です。
制作を続くけていく各工程で、自分なりの作れる自信と楽しさを
見つけると、感動が湧きあがってくるものです。
≪1≫ 作品を自由に選ぶ楽しさ
自分の好きなモノ(作品)を自由に選べます。
平面のモノ、立体のモノ、形は何でも自由に出来ます。
≪2≫ 絵を描けるようになる楽しさ
ステンドグラスは平面でも立体でも、下絵(型紙)が大切です。
選んだ題材を作りたい大きさの下絵(型紙)に準備します。
自分の好きなデザイン・大きさにアレンジしましょう。
この方法を繰り返しているうちに、フリーハンドで絵が描けるようになる、
楽しさが身に付きます。
≪3≫ 自由に色を決める楽しさ
下絵にもとづいて、色鉛筆でおおまかな色付けをします。
色ガラスを透して光が射してくる、明るい色調の仕上がりを想定して、
自分好みの色ガラスを選んでいく楽しさがあります。
さらに色ガラスには無地のものから模様の入ったガラスまで、
千差万別の変化があり、選ぶのに困るほど いっぱいの楽しさがあります。
光が透るガラスもあれば、光を透さないオパールセントのガラスもあります。
全ては あなたが楽しく迷うための選択です。
≪4≫ 色ガラスをカットします
デザイン・色ガラスが決まったら、下絵を鋏で切って、選んだ色ガラスに貼って
ガラス切りの準備をします。
①:この時、普通には使わない珍しい、ステンドグラス用の鋏でデザインをカットします。
使ってみると 何か不思議な感じです。
②:ガラス切りで、ガラスに切れ目をつけます。
直線も曲線も自由自在に切れ目をつけます。
定規を当てて直線に切るガラス屋さんよりも ずーと上手に、直線もカーブも
自由自在にカットできるようになります。
切れ目をつけたガラスは、工具で割るも良し、ガラス切りの反対側の金属ギボシで
タッピングして割るのも面白いです。
うまくなれば、タッピングで曲線もきれいに割り落とせます。
また、タッピングしている時の音の変化で、ガラスが落ちるタイミングも
分かるようになります。
色紙でなく、3mm厚さの色ガラスがデザイン通りにカットされていく
不思議な楽しさが味わえます。
≪5≫ ピタリ、デザイン(下絵)通りに削る楽しさ
カットしたガラスは、ルーターという(電動回転ヤスリ機)で削ります。
この時に、前の工程のガラスカットの大切さを知ることになります。
カットがピタリピタリと楽しめた方は、このルーターで 削りもピタリピタリと
早く図案通りに削れることでしょう。
下絵(図案)にピタリピタリと好きな色を当てていくように、削った一つ
一つのガラスパーツがモザイク絵のようにピタリピタリと嵌まっていく
愉快感は、何物にも代えがたい楽しさです。
微調整で、削られたガラスがモザイクのように仕上がっていく様を
目の当たりにすると、とても自分でやったとは思えないほど、
愉快で楽しい気分になります。
(さあー、次はテープ巻きです。)
≪6≫ 銅の箔のテープを全てのガラスピースの背(厚さ3mmの部分)に
貼り付け巻いていきます。
この時、テープの巻き具合が 次のハンダづけの良し悪しに影響してきます。
巻いたテープを、工具でギューと押しつけ 浮き上った状態の無いようにしていきます。
先程の色ガラスのモザイクが、きれいに縁取りされて、アクセントがつきはっきりと
決まるのには驚かされます。
夢の制作が一歩一歩近づいてくる実感が楽しめる段階です。
≪6’≫ 銅のテープではなく、ケイムで色ガラスを組む方法もあります。
大きなパネルの時などに使います。
こちらは、ヨーロッパの伝統的な技法にのっとって、ガラスを
ケイム(鉛線)で組み込み 留めていく方法です。
この方法は うまくなると、釘を使わない宮大工のように、
ハンダを使わず ガラスのパーツをケイムで組み込み
一分の隙間もないように しっかりと組み上げる技術を身につけられます。
最後の留めにハンダするという方法です。
図案通りに色ガラスをピタリピタリと押し込め、組み上げていく
楽しさは、何とも言い表しようがありません。
≪7≫ 全パーツにテープを巻き終わったら、ハンダづけをして、平面なり
立体に仕立てあげていきます。
特に立体の作品は、ハンダづけをするごとに まるで建材が
積み上げられていくかのように 目に見えて形ができ上がって
いく時の喜びは、驚きものです。
自分の手で 作り上げていく様子を体験できる、感動ものです。
≪8≫ ハンダづけが仕上がれば でき上がった作品に、パティーナ塗りをします。
多くはブラックパティーナを使用して 色ガラスの色を際立たせるのと、
ハンダ部分の防腐処理をします。
この時も、 作品を見て 仕上がりのパティーナの色を2~3種類から
選択できます。
パティーナを塗り始めると、みるみる触れたところからハンダの銀色が
色が染まるように変わっていくのには、びっくりします。
ブラックパティーナですと、ぐんぐんハンダの銀色が黒く染まり、反対に色ガラス
の色が 今まで以上に落ち着いてはっきりしてきます。
ハンダづけした作品が、ステンドグラス作品に変わっていく実感を楽しめます。
パティーナはボロ布で、すぐ拭き取る場合もありますが、しっかり黒色に定着
させるためには 時間をかけて乾燥し、そして 水洗いします。
≪9≫ パティーナ処理の後 水洗いをし、よく拭いた上で、作品にワックスを塗ります。
スポンジでワックスを塗るというよりは、軽くはたくように 全体に塗ります。
そして、軽くテイシュ等で磨くように拭けば、作品の完成です。
明りを入れるものは、点灯式の時です。
パネルのものは窓の自然光にかざして、眺めてみましょう。
苦労して (と言っても その各工程で制作を楽しんできたのですが) 作り
上げたその作品には、何物にも変えがたい喜びと感動が湧きおこってきます。
≪10≫ ステンドグラスは 色ガラスの芸術ですが、光を透して楽しみます。
自然光を透して その巧みなアートを感じ、感動するヨーロッパ・スタイル。
電気の光を透して、暗いところでも 色の光の感動が楽しめるランプ式の
ニューヨークスタイル。
いづれも アートを施した色ガラスの芸術に変わりはありません。
ステンドグラスづくりのアートの腕があがるごとに、
より繊細で大きなモノ(作品)にチャレンジする勇気と 楽しみが
もたらされることでしょう。